2010年の補助金 1kwあたり70万円⇒65万円に

2010年度の太陽光発電設備についてのJ-PECの補助金の変更はたった1点です。

 

補助金の支払条件が1kwあたり70万円から65万円に下がったという事です。

 

逆に、補助金総額は200.5億円から401.5億円と大幅に倍増となっています。

 

  • これは一体何を意味しているのでしょうか?
  • この価格下落は何か意味があるのでしょうか?

 

この価格推移の背景や、補助金の策定を行う経済産業省の目的や動向を紹介していきましょう。

 

2010年当時、太陽光発電を巡る世界の動向として、
太陽光発電の施策、発電生産量、導入量において世界ではドイツが群を抜いてリードしていました。

 

太陽光発電バブルとドイツ

ドイツの1件で、太陽光発電に対する「発電の全量買い取り制度」や、「補助金施策」は、
太陽光発電設備を国内に拡充する有効な手段として世界中から認知されていました。

 

ところが、一方でその施策に疑問の視線も向けられる部分がありました。
その疑問が、残念ながら的中する事態が起こります。

 

それは・・・・・『太陽光発電市場のバブル化』です。

 

当事者のドイツ自体も、方針の急変をせざるを得ない状況が一番顕著に出たのが2010年なのです。

 

ドイツの「失策」

元々、ドイツの太陽光発電の全量買い取り制度は、

「発電の全量を20年間定額で買い取る」

という制度でしたが、その制度は当然設備拡充が目的で、購買意欲を刺激する為のものでした。

 

したがって、過剰な施策は、いたずらに購買意欲を煽り、
太陽光発電市場に、バブル経済を発生させる可能性があったのです。

 

2010年のドイツの太陽光発電導入計画は、

『予定予算の約2.5倍の申し込みが起こる』

という、異常事態となりました。

 

これは、太陽光発電の導入量が、完全にコントロールを失ったと同時に、
バブル化の様相を呈している事は誰の目にも明らかでした。
そしてそれが電気の買取による財政の圧迫を招く要因となる事も明白な事実でした。

 

現にこの後、ドイツの太陽光発電施策は、財政を圧迫する要因の1つとなります。

 

政策転換

EU諸国でも、この危険性は前から指摘されていました。
2010年、太陽光発電導入施策をドイツに追従していたEU各国は、軒並み舵を逆に切り始めます。

 

すなわち・・・緩やかな【買い取り価格や補助金の下落】です。

 

ドイツ自体も、太陽光発電については世界の先駆けとしての存在感から、
施策のバックが許される状況にはない雰囲気でしたが、
太陽光発電のバブル化への懸念が国内で叫ばれ始めたのもこの2010年でした。

 

結果、この後2011年のピークをもって、ドイツは太陽光発電施策の急激な撤退に舵を切る事になります。

 

一方当時の日本では、このかじ取りは非常に難しい判断でした。

 

日本の判断

世界第一位の太陽光発電シェアを誇る国家から没落したが、2009年に巻き返しを図り始め
太陽光発電設備の施策を見直し、EU諸国を追いかける体制が出来上がる中、
やはり、バブル化に懸念があった事は事実です。

 

しかし、当時はリーマンショック後の不況の真っただ中にいた日本では、
急激な太陽光発電拡充の施策見直しをする事は、折角戻り始めた需要を急落させかねませんでした。

 

結果的に補助金条件の引き下げは行ったものの、
その他条件は変更なく、現状維持の方向となったのです。

 

日本に与えた影響

しかしながら、この一連の出来事が経済産業省に、

 

「太陽光発電設備を導入する為に改正した太陽光発電余剰電力買い取り制度補助金は、
やはり早急に価格下落させるべし」

 

という認識を持たせたのには間違いなく、日本国内の景気が復旧次第、
早急に太陽光発電の助成施策は価格下落をさせる事が明確になり、
大きな方向性はこの時に決まったと言っても過言ではないでしょう。 

 

この方針は、その後現在に至るまで、変わる事無く継続されていますが、
そのあとに発生した東日本大震災の影響で、

  • 原発依存に問題が出た事
  • それに関連して、慢性的な電力不足が起こっている事
  • 不況に対する大きな影響
  • また外圧では円高による輸出不振・・・等
  • 不況構造が根本的に改善されない事

・・・から、なかなか価格下落に大きく踏み切れない現状があります。

 

補助金と「個のメリット」

基本骨子(重要な部分)は失う事無く、
『時期とタイミングが合い、経済の将来的な展望が開ければ、必ず大きな価格是正に入る』
というスタンスは、これからも経済産業省の継続する基本姿勢である事には変わりありません。

 

太陽光発電設備の購入をお考えの方々は、この事で決して購入を急ぐ必要性はありませんが、
背景にある国策方針はしっかりと把握をしつつ、

 

「個としてのメリットをどこで考えるか」

 

という観点を持つ事は非常に大事な事でしょう。
そのメリットが失われるか、それとも継続するのかは、
日本の現状の景気が大きく関わっている事は間違いなさそうです。

1kwあたり5万円のコストカット

1kwあたりのコストは、70万円から65万円に下げられたのですが、
一般的には、1年で5万円の設備コストの下落は非常に急激なペースです。
各メーカーからすると、このコスト削減は非常に熾烈を極めたでしょう。

工事費の更なるコストカット

 

太陽光発電設備には、「製品コスト」と「工事費」の二種類がかかります。
製品コストは1年間でそんなに落ちるものではありません。
そのため、メーカーは「工事費」に目を付けました。

 

ここで、メーカーは新たな戦略を打ち出します。

 

通常、太陽光発電設備…等の機器は、年間の工場生産量がある程度決まっているのですが、
販売店毎にその販売数割り当てが決まっています。

 

要するに、販売店へ供給される機器の数が販売店毎に決まっている仕組みがあります。

 

この、販売店の割り当て条件として、

 

「工事費の低い販売店へ、より多くの機器供給数を割り当てる」

 

という戦略を取ります。

 

この様な戦略から生まれたのが、販売店の『一括見積もり』システムです。

 

この『一括見積もり』システムの導入により、工事価格は瞬く間に下落しました。
見積もりが出来る施工会社は、当然メーカーのID登録が必修条件でしたので、
工事施工方法も一定に保たれます。
メーカーが警戒する、「工事費の下落は、手抜き工事を増やす」…等の可能性を考えなくても良かったのです。

 

この販売手法はインターネットを通じて、非常に大きな拡大を見せます。

 

価格下落の狙い

補助金政策が取られてわずか2年目での本格的な価格下落は、
経済産業省の太陽光発電設備のバブル化をさせない!という強い意思表示でありました。

 

現にドイツではこれが思うように進まず、結果的に
「太陽光を進めたことは歴史上最悪の誤りだった。」
などという、責任転嫁も甚だしい言葉を吐いています。

 

ドイツ国内の太陽光発電設備メーカーは、当初、政策の生み出す利益で急激な成長を遂げました。
が、費用負担に耐えきれなくなった国の方針転換により、急激な価格下落を生んだ事で、
コスト削減が出来ない国内の大手メーカーは次々と倒産に追い込まれたのです。

 

そこに追い打ちをかけるように中国等のメーカーは安い製品を大量に投入しました。

 

これを目の当たりにしている経済産業省は、多少厳しい目標であっても補助金政策を盾に
コストカットをメーカーに強要します。
これは同時に国内メーカーの競争力を付ける為に必要な処置であり、
方向性としては不可避な選択だった訳です。

 

2010年の段階ではメーカーもこの意図をくみ取り、
本格的なコストダウンへの取り組みに専念したのです。

 

現在の太陽光発電の販売方法も、この時期に基本骨格が出来上がったのです。